セピアクルーのギターは、低価格ながら品質の高いことで知られています。しかし一方で、チューニングの精度などに課題もあるようです。この記事では、セピアクルーギターの評価についてネット上のこのギターの購入につて否定的な意見についても触れ詳しく解説します。
セピアクルーギターは低価格ギターとして確固たる地位を築いている
セピアクルーは中国国内で製造されたの低価格ギターブランドです。手頃な価格設定が最大の特徴で、初心者や予算を抑えたいギタリストに人気があります。
初心者、入門者だけでなく、とりあえずギターが1本必要!というときには間に合わせのギターとして何とかなる品質を備えたモデルもあり、超低価格ギターとしての確固たる地位を築いているといえます。
音質や弾き心地はエントリーモデルの域を出ませんが、基本的な機能はしっかり備えています。適正価格といえる実用性能を発揮します。そのあたりをじっくりと解説してゆきましょう。
セピアクルーというギターメーカー
セピアクルーは、日本の楽器メーカーであるキョーリツコーポレーションが展開しているギターブランドです。1989年の発売開始以来、アコースティックギタやエレクトリックギターを中心に製品を展開しています。
セピアクルーブランドのギターは中国で生産されていますが、キョーリツの監修のもとで品質管理が行われています。価格帯はエントリーモデルが中心で、コストパフォーマンスの高さがウリとなっています。
日本国内ではキョーリツコーポレーションがセピアクルーの正規輸入代理店として販売を手掛けているほか、各楽器店でも取り扱いが行われています。
キョーリツコーポレーションといえば当ブログでもかつて紹介したフォトジェニックギターも展開していることで知られていますね。 要は高級品だけでなく手の届く低価格の良品を広く紹介して国内外の音楽人口の増加に大変寄与しているということです。業界では大手に入ります。
セピアクルーギターの価格帯
とにかく安い。セピアクルーギターはエントリーモデルの価格帯で手に入ります。代表的なラインナップを見てみましょう。
同社の主力シリーズであるFGシリーズの価格帯は1万5千円台後半が最安値。上限は3万円弱で推移しています。ミドルクラスのWGシリーズは2万円台前半が主流です。
また人気のWシリーズは1万円台前半で購入可能です。
これに対し、例えば国内大手メーカーのヤイリでは、低価格帯のJASシリーズでも4万円台からのスタート。人気モデルのFabio-IIJR以上では6万円を超えることも珍しくありません。
つまり、セピアクルーのギターは国内メーカー製に比べて約2~4割安い価格設定が特徴といえます。
セピアクルーのアコースティックギター
セピアクルーのアコースティックギターには、先にも少し触れたように大きく分けてFG・WGシリーズとWシリーズの2つがあります。
FG・WGシリーズはフルサイズモデルです。トップに固有振動数の高いスプルース、バックやサイドに音の温もりを与えるナラやマホガニーといった木材が用いられています。
スプルースやマホガニーといった木材は高級ギターでも最も多くアコギの材量として使用される木材です。もちろん同じ木材でもランクがあるので高級ギターの同じレベルの材ということはないでしょうが、これらの材が使われていることはセピアクルーギターもれっきとしたギターであって”なんちゃってギター”、”ギターモドキ”といった類のおもちゃギターでないことは確かです。
FG・WGシリーズ一般的なコンサートタイプのサイズ感で、大人から子どもまで幅広い層が扱いやすく、リズムやメロディを奏でられるスタンダードモデルです。FGとWGの違いはボディーの形です。
FGの方がくびれが大きくマーチンでいうところの000(トリプルオー)タイプです。WGはドレッドノートタイプです。
一方のWシリーズはボディースケールが約60%のいわゆるミニギターです。持ち運びしやすさがウリで、外出先や旅行先で気軽に弾けるのが嬉しいアイテムです。子どもも扱いやすくなっているので、低年齢者の練習用としても最適。多分お子様向けに初めてギターをプレゼントするならこれ一択じゃないでしょうか。
セピアクルーのミニギター(Wシリーズ)が人気あるのはこんな理由
Wシリーズは3/4サイズや1/2サイズのミニギターですが、持ち運びのしやすさから強い人気があるのは当然ですね。
人気理由は、軽量なボディーと低価格なほかに、重さもフルサイズの約3分の2程度で、負担なく長時間の持ってられるというの一番です。 またスケール(弦の長さ)も短いのでフレット間の間隔も狭く手の小さな子供や女性でも楽に弾けるというのも人気の理由です。
また小さいボディーは実物を見ればわかるのですが、何とも可愛らしいのです。インテリアとして部屋に置くととてもおしゃれだという声もあります。
実売価格も1万円前後からと手頃で、気軽な価格で購入できる点が初心者を引きつけています。ギターの入門練習に最適なサイズ感と価格帯が支持されている理由です。
ただ、このミニギター。構造上の重大な欠陥が一つだけあります。チューニングが合いにくい。合わせてもすぐに狂う。という点です。
セピアクルーミニギターのチューニング合わない問題
セピアクルーのミニギター最大の欠点は、チューニングの不安定さです。
ネックスケール(弦の長さ、正確にはブリッジからナットまでの長さ)が短い分、弦長もフルサイズの約65%程度。この張力(弦をひっぱる力)の弱さがチューニングの狂いにつながります。
例えば開放弦のチューニングで言えば、通常E-A-D-G-B-Eですが、このE音は弦の基本振動数から算出される音高です。ミニタイプの短い弦長では計算と実際の音高に乖離が生じるのです。
したがってチューニングを合わせてもすぐに狂い、電子チューナーを頻繁に利用しながらの微調整が欠かせません。本格的な演奏よりも、ちょっとした気晴らし程度に適したギターといえます。
これは構造上どうしようもない部分があります。まぁチューニングの練習にはなりますが。。。
セピアクルーのエレクトリックアコースティック
次にセピアクルーの主力エレアコギター「EAW-200」。これは音響面でかなり評価が高いギターです。
トップ板に固有振動数の高いスプルース、バックやサイドに音の温もりを与えるマホガニーを採用。アコースティックの木質音とエレキ的なアタック感が共存する今どきのサウンドが魅力です。
搭載されたオリジナル製エレキ系ピックアップも、アンプやエフェクターとの相性が良くクリアな音声を放ちます。ボリュームノブによる出力調整で、曲に合わせた音作りが可能です。
つまりアコースティック弦のみの自然音でソロライブができる一方、バンドセッションでも問題ない適応力の高さがセールスポイント。幅広いシーンで活躍できる万能性能が評価されています。
一定の品質をもったエレアコが2.5万円までで手に入れられるというのが意味不明なくらいコスパいいです。
超人気モデル FG-10モデルの特徴と評判
特徴
FG-10はセピアクルーの看板アコースティックギターモデルです。これは材のランクが結構いいのを使用していて驚きです。
なんとトップ材に北欧産スプルースAAAグレードを使用しています。スプルースは弾力があってよく共鳴するのでいわゆる”鳴りがいい”といわれます。表情豊かで繊細な音源を提供できるのです。サイドやバック材のインド産ローズウッドと相まって、高域の伸びと低音の太さが体感できるサウンドをもっており、もうほんとこれで良くね?って感じです。
ジャーマンスプルースとインデアンローズウッドは高級ギターの王道であります。
ボディーサイズは一般的なサイズで、大人から子どもまで幅広い年代に扱いやすい持ち運び性能。リズム・メロディどちらにも対応できる汎用性と安定感も魅力のギターです。
評判
このモデルの特徴からわかるようにFG-10に対する評価の大部分は、「高域と低音のバランスが良く中級者向き」というものです。抜群の音響性能から、800ドル級の名器と称されることも少なくありません。
一方で、やはり製造上の構造欠陥や品質管理の甘さから、「チューニングが微妙に狂う」「数週間でペグが緩んだ」などの指摘も散見されます。
こうした個体差の原因は、セピアクルーの量産体制に内在する課題だと考えられます。ネジ山の精度や塗装の乾燥管理など、細部が緩みがちなようです。
したがってFG-10購入時には念入りな試奏が欠かせません。店頭での点検を通じ、構造や音色の確認を尽くすことで、欠陥品を回避できる可能性が高いです。
セピアクルーギターの評判まとめ
実はネットの口コミ・レビューでは結構酷評されるのも事実です。先ほどのチューニング合わない問題のせいです。
ただ、これはミニギターでは特に顕著ですがFGやWGではそれほどでもありません。構造が違うからです。製造上の品質管理の悪さで個体差があるのも事実です。またチューニングの精度に大きく影響するペグ(糸巻)やナット・サドルがそれほどいいのを使っていないのもあります(これはユーザーがあとで交換すれば解決します。精度のいいペグはいくらでも単体で購入できるし素人でも交換可能です)。
ギターを購入しようとしている目的によってはセピアクルーギターは避けた方がいいという場合があるのも確かですが、これからギターを始めてみようか。とか、子供にギターを触らせたいという場合はセピアクルーは最適解ではないかと思っています。
そればかりではありません。すでにギターを弾いている人がセカンドとしてとりあえずの1本が欲しいという場合でもこの価格なら価格相応のレベルではあるけれど十分使えるギターだといって間違いないでしょう。
以下に繰り返しになる部分はありますが、セピアクルーギターに寄せられる良い評価と悪い評価をまとめておきましょう。
セピアクルーギターの評判の良い点
セピアクルーギターが高く評価されている理由としては、まずなんといっても手頃な価格設定
例えばFG-10の場合、実勢価格が2万円台と安価ながら、使用されるトップ材のスプルースやバック材のローズウッドは高級仕様。性能面でも十分満足できるレベルにあるということでした。
エントリーモデルながら丁寧な構造設計やボディの仕上げ度も高い評価を得ています。多くのユーザーが、予算に見合った品質を絶賛しているのが実情です。
つまり低価格ゆえの品質不足を懸念する声は少なく、ギター初心者にとって最適なステップアップ用アイテムという位置付けです。コストパフォーマンスを重視するなら問題ない選択肢とされています。
セピアクルーギターの評判の悪い点
セピアクルーへの否定的な評価として、チューニングの不安定さがよく指摘されます。
原因の1つにペグの品質があります。精度管理の甘い量産体制のためか、ネジ山のゆるみが生じやすく、チューニングがずれて固定できないケースが少なくありません。
もう1つの原因がブリッジやナットといったパーツの精度です。設計・製造工程で微妙な寸法ズレが蓄積することで、理論値と実際の弦の長さにギャップが生じます。するとチューニング自体が困難になるのです。
これらの欠点が長期に渡り改善されてこなかったことで、ユーザーの信頼を失ってきたと言えるでしょう。できるならば定期的な店頭点検が必要だともいえます。
honey beeギターとの比較
Honey beeは米国テキサス州オースティンに拠点を置くハンドメイドギターブランドです。
一方のセピアクルーが量産向けエントリーモデルを中心に展開するのに対し、Honey beeは1本1本職人の手作業で製造するカスタムショップ。
使用するトップ材に古木Spruceを採用することで深みのある音色を実現。各パーツの寸法管理もミリ単位で行うことで、理論値に近い完成度を誇ります。
販売価格は30万円を超える高級ギターが主流で、その作り込みと音質へのこだわりは世界中から熱狂的支持を集めています。セピアクルーとは次元の異なる存在と言えるでしょう。
セピアクルーギターを買うべき人
セピアクルーのギターは低価格ゆえ初心者向けとされますが、音程の狂いには十分注意が必要です。
実際にFG-10でも製造上の構造欠陥に起因する不具合が散見されるなど、品質のバラつきが否めません。
したがって購入前には念入りな店頭での試奏が欠かせません。チューニングやボディのブレイス張り、塗装の状態を確認し、欠点があれば交換を申し出ましょう。
そうすることで初心者でも品質面で不安の少ない楽器選びが可能です。ギター入門に当たってセピアクルーを選ぶなら、試奏を通じた品質チェックが成功のカギと言えるでしょう。
セピアクルーギター評判:総括
- 低価格帯のギターブランドとして知られる
- 初心者や予算制約のある層に人気が高い
- アコースティックギターが代表的な製品ラインナップ
- ミニサイズも可搬性と低価格で支持されている
- 音と品質は価格帯から期待できるレベル
- チューニングの不安定さが欠点とされる
- FG-10は高音質で評価が高い看板モデル
- 欠陥がある場合は店頭での交換が必要